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しばらくメンテナンスをしていなかったら、お風呂の洗い場の排水溝から水が溢れてきたことはありませんか?
あるいは浴槽のお湯を流そうとしたら、いつの間にか詰まっていて、お湯がなかなか流れなかったりすること、ありますよね。実は、お風呂の排水溝というのはご家庭の中の水廻りの中でも、特に詰まりが発生しやすい場所なのです。お風呂の詰まりというのは、大きな固形物が詰まっている場合を除いて、髪の毛やシャンプー剤のカスなどが徐々に徐々に堆積して、その量がある一定量を超えた、時に水が流れなくなり発生します。つまり、一定量を超えるまでに定期的なメンテナンスをしていれば、詰まりは発生しないのです。詰まりが発生したということは、かなりの量の詰まりの原因物質が溜まっているということです。
特に、築年数が古くなった建物などは排水パイプに汚れが付着しやすくなっているため、詰まりが起こりやすいです。できれば自分で解決したいものですが、何から手をつけていいのかわからない方も多いでしょう。また、「パイプクリーナーを使ってみたけれど、つまりが改善されない」と悩んでいる方もいると思います。 そこで今回の記事では、お風呂の排水溝が詰まってしまった場合に考えられる原因や、それぞれに対応する複数の対策方法をご紹介していきます。 どうしても改善することができなかったり、時間がなかったりする場合は、水道トラブルの業者さんを呼ぶのもいいのですが、お金がかかってしまうので、まずはご自身で修理にトライしてみてはいかがでしょうか。
まず、つまりの原因について考えたり、解決策について考えたりする前に、お風呂場の排水溝の仕組みを理解しましょう。お風呂場の排水溝はこのようなシステムになっています。
ユニットバスの場合、全体に排水溝は2箇所存在します。1つが浴槽の中の排水栓、もう1つが洗い場の排水口です。その2つは、別々に排水管に繋がっているわけではありません。多くの場合は、洗い場の排水口に浴槽の排水栓から出ている管がつながり、洗い場の排水口の排水トラップと結合され、排水管に繋がっているという形になります。
排水管側から考えると、排水トラップの部分で枝分かれして、片方が洗い場の排水口に、もう片方が浴槽の排水栓につながっているということです。 お風呂場の排水溝に詰まりが発生するということは、今ご説明したお風呂場の排水溝のパーツ全体の中のどこかに詰まりが発生しているということです。考えられる場所は4ヶ所あります。1つ目が、浴槽の排水栓、2つ目が、洗い場の排水口、3つ目が排水トラップ、4つ目が排水管です。詰まりの箇所が奥へ行けば奥へ行くほど、解消までのステップは多くなりますので、やっかいです。逆に、浴槽の排水栓や洗い場の排水口が詰まっているだけなのであれば、作業する場所が手前の部分になるため、そこまで手間はかかりません。
排水トラップは、排水管の中を流れる悪臭が排水溝の中から逆流してこないように水を使って空気をせき止める役目をする構造のことを言います。排水トラップは、お風呂場だけではなく、キッチンの排水溝にも使われています。また、洗面所の排水溝にも簡易的な排水トラップが備わっている場合があります(S字の形にカーブしている排水管は、カーブ部分に水が溜まり、排水トラップの役割を果します)。ただし、お風呂場の排水トラップの場合は、浴槽と洗い場の2ヶ所の排水溝があるため、その仕組みが少し複雑になります。
浴槽の排水栓と洗い場の排水口は、それぞれに独立して排水トラップがあるわけではなく、1つの排水トラップが2つ分の排水溝の悪臭の逆流をストップさせる役割を果たしています。多くの場合、排水トラップ自体は洗い場の排水口の真下にあり、その下に空気をせき止める水が溜まっています。そして、その排水トラップの下の部分から管が伸び、浴槽の排水栓へと繋がっているという形になります。この管の中には常に水が溜まっている状態になります。そのため、浴槽の排水栓の中を覗くと、中に水が溜まっているのを確認できると思います。
「なぜ下に水があるのか」と不思議に思ったことがある方も多いと思いますが、これは排水トラップのシステムのためで、詰まっているから水が溜まっているという訳ではありません。 そして、排水トラップの中心部の水面は洗い場の空気と接触しており、排水トラップの外側の水面は排水管の中の空気と接触しています。図を見ていただけば、排水管の空気と洗い場の空気は、直接接触している部分がなく、排水トラップ内部の水がフタの役割を果たしているということがご理解いただけるでしょう。排水管が詰まってしまう場合、排水トラップ内部に本来適度な量が保たれているはずのフタの役割をする水が、排水管に流れなくなってしまう分、あふれ出し、排水管の内部で詰まりの原因となっている汚れと一緒に浮き出てきてしまうのです。そのため、お風呂場の排水溝が詰まってお湯が溢れてきたら、そのお湯には過去のシャンプーや皮脂、髪の毛、さらには雑菌などの汚れが混ざっている可能性が高いため、あまり触らない方が良いでしょう。
お風呂の排水溝の詰まりの原因になってしまう物質には様々なものがあります。それぞれつまりの解消に効果的なアクションが変わってくるため、もしあなたの家のお風呂場の排水溝が詰まっている場合は、原因物質が何なのかを最初に確認しましょう。
最もわかりやすいのは固形物です。
入浴剤を使った後に、袋の切り取った部分の小さな破片などが、お湯で流れて詰まってしまうことなどがあります。
その他にも、シャンプーボトルのキャップや、カミソリの刃、詰め替え用のシャンプーやリンスなどの切り取った部分などが排水溝に流れて詰まってしまうことがあります。ホテルなどでもらってきた小さな歯磨き粉のキャップなどが転がって、いつの間にか詰まりの原因になっているということもあります。
大きな固形物が排水溝に詰まって、その瞬間に「お湯が流れない」という症状が発生すればまだ良いのですが、小さな固形物が排水溝に詰まり、その固形物が核となって、様々な髪の毛や石鹸カス、皮脂などを吸着させ、大きな詰まりの原因に成長してしまうこともあります。小さな物でも固形物をお風呂場で落としてしまった場合は必ず回収するようにしましょう。
もし、自分の手を使っても届かず、道具を使っても取り除けないほど奥まで固形物が入ってしまったことが確認できたら、放置せずに大事になる前に専門業者さんに連絡しましょう。
髪の毛も固形物の一種なのですが、お風呂場の排水口の詰まりを考えた際に、1つのジャンルとして説明しなければならないほど原因のうちの多くを占めているため、項目を別にしました。
髪の毛は、男性であっても女性であっても、年齢を問わずに1日50本から100本程度が抜けます。そしてその下から再び新しい髪の毛が生えてくるのです。これをヘアサイクルといいます。引っ張られたわけでもなく、自然に抜けた髪の毛というのは、抜けたと同時に自然と床に落ちるわけではありません。ワックスやスプレーなどを使ってセットしている場合、抜けても他の髪の毛とくっついたまま落ちる事がありません。そしてシャンプーをした際にワックスなどの整髪料と一緒に、日中に毛根から抜けていた髪の毛がシャワーで洗い流されるのです。つまり健全な状態でも、かなりの数の髪の毛がシャンプーによって排水溝に流されるということになるのです。洗い場の排水口には、ほとんどの場合髪の毛をキャッチするためのプラスチックの網のようなキャッチャーが付けられていますが、この部分はシャンプーをするたびに毎日掃除した方が良いでしょう。たった1回のシャンプーでも、驚くほどの量の髪の毛がキャッチされていることがあります。特に、男性よりも女性は髪の毛が長いので詰まりやすく、頻繁な掃除が必要になります。髪の毛のつまりというのは、後述の洗剤のカスや皮脂などの汚れが後から付着しやすく、排水溝や排水トラップを詰まらせる大きな原因になります。
お風呂場で使われた石鹸のカスや、シャンプーやボディソープなど、洗剤のカスが排水口の詰まりの原因になります。お湯と混ざって流れている時には大して気にならないのですが、それが少しずつ排水溝の中に詰まった固形物や髪の毛などに付着し、堆積していくことによって、大きなドロドロとした塊に成長していきます。
こういった洗剤由来の汚れは、アルカリ性の性質を持っていますので、酸性のパイプ洗浄剤を使うことによって、ほとんどの場合解消することができます。パイプ洗浄剤がない場合は、お湯と重曹を使うことによって、汚れを落とすこともできます。この方法については後ほど詳しく説明させていただきます。
体から出る汚れが詰まりの原因になることもあります。たった1回お風呂に入っただけでそれが詰まりの原因になるということはありませんが、毎日体を洗ったり毎日シャンプーをしたりすることによって、少しずつ排水管の壁の内側や、排水トラップ内部にこびり付き、ある一定の量がたまったところで、詰まりになります。特に、一人暮らしのご家庭よりも、家族の人数が多いご家庭の方が発生しやすいため、注意が必要です。1日に多くの方が入浴する場合は、非常に速いペースでこの皮脂や垢が排水溝に溜まっていきますので、定期的にアルカリ性の重曹などを使って排水溝の内部を洗浄していきたいところです。
排水管の内部には様々な雑菌が生息しています。清潔な状態を保てれば、この雑菌が繁殖することはないのですが、前述の髪の毛や洗剤のカス、皮脂や垢などが排水管の中を流れる過程で排水管の内側に付着すると、それが雑菌にとって格好のエサとなってしまいます。それらを食べて雑菌はどんどん繁殖し、ぬめりを発生させます。これも、排水管内部の洗浄剤などを使用することによって解消することができます。
この様にお掃除を怠ると排水に汚れが溜まり雑菌が繁殖して詰まりの原因になります。
(フタの裏はこんなに汚れて雑菌が繁殖しています。)
液体パイプクリーナーで浴室の排水口を掃除する手順を解説します。
強力な洗剤で種類によっては髪の毛まで分解する力があります。
最初に排水口にたまっているゴミを回収しておきましょう。手で取れる範囲で問題ありません。
ゴミを回収したら、洗剤に記載されている分量を排水口にまんべんなく流し込みます。
流し込みが完了したら、20〜30分ほど放置します。
時間が経過したら水で十分に洗い流しましょう。
排水口を可能な限り分解し、残った汚れを使用済み歯ブラシなどを使ってキレイにします。
全体的に汚れが取れたら、分解した排水口を元に戻し、掃除完了です。
液体パイプクリーナーで定期的に掃除を行うと、排水口のつまりを予防できます。
比較的簡単に対応できるので、ぜひ試してください。
重曹とお酢を使った掃除手順を解説します。
どちらも身近にあるものなので、気軽に掃除ができるのがポイントです。
手順も難しくないので、ぜひ試してください。
まずは、浴室の排水口のゴミを簡単に取り除きます。
排水口に重曹を200gほど、まんべんなく振りかけます。
次に、お酢を100ml流し込み、15分ほど放置しましょう。
重曹とお酢が化学反応を起こし、炭酸ガスがでてきます。 15分経過したら、お湯で重曹とお酢を洗い流しましょう。
最後に排水口を分解し、残った汚れをブラシなどを使って落とします。
キレイになった排水口を元に戻せば完成です。
ラバーカップは、浴室の排水溝のつまりや汚れに効果的です。
押したり引いたりする際の圧力を利用します。
最初に浴室の排水口のゴミを取り除いておきましょう。
次に、髪の毛を集めるヘアキャッチャーなどを外し、排水溝がむき出しの状態にします。
排水溝にラバー部分を押し当て、ゆっくりと押し込みます。
限界まで押し込んだら、勢いよく引っ張りましょう。
この押し引きの動作を何回か繰り返すと、排水溝のつまりや汚れが取り除けます。
ラバーカップで掃除したあとに、さらに液体クリーナーや重曹などで掃除をすると、排水溝をよりキレイにできます。
日々の生活の中でちょっとした工夫をすれば、お風呂の排水溝のつまりも予防できます。
簡単に予防できる方法を3つご紹介します。
ぜひ、日々の生活に取り入れていきましょう。
液体パイプクリーナーを使えば、排水溝をキレイな状態にできます。
定期的に使用すると、排水溝に汚れがたまらず、つまりの予防にも効果的です。
月に1〜2回ほど液体パイプクリーナーを使って掃除をしておけば、排水管も含めてキレイな状態をキープできます。
使い方はつまりが発生したときと同様で、洗剤に記載された分量をお風呂の排水口に流し込み、30分ほど待ちましょう。
時間が経ったら、お湯でキレイに流したら完了です。
もし液体パイプクリーナーの使用に不安がある場合は、重曹とお酢を使用した掃除方法でも効果は高いです。
継続して掃除ができる手段を選び、お風呂の排水溝のつまりを防いでいきましょう。
排水口専用のゴミとりシートの設置も排水溝のつまりの予防に効果的です。
排水溝にゴミが流れてしまうリスクが減るため、つまりが発生しにくくなります。
シートを設置して、ゴミがたまったら新しいシートに取り替えるだけなので、こまめな掃除が苦手な方でも手軽に行えます。
毎日、仕事や家事で忙しく、なかなかお風呂の掃除まで手が回らない方にも最適です。
日々の掃除の手間を減らせ、排水溝のつまりも予防できるので、ぜひゴミとりシートの活用を試してください。
ヘアキャッチャーにネットをかけるのも、排水溝のつまり予防に効果があります。
効果はゴミとりシートと同様で、排水溝に髪の毛などのゴミが流れてしまうのを防ぎます。
キッチン用のネットなどでも代用ができるので、設置も簡単です。
ゴミとりシートもネットも、つまりの予防効果はそこまで差がないので、一度試して気に入った方を使っていきましょう。
お風呂の排水溝のつまりは、自分でも解消できるものも多いですが、注意しておかなければならないポイントもいくつかあります。
間違った方法で対処を進めると、思わぬ事故やトラブルに発展する可能性もあるため、しっかりと注意点を把握しておきましょう。
お風呂で使用する薬品の中には、人体に悪い影響を与えるものも数多くあります。
とくに、複数の薬品を混ぜた際に、化学反応を起こし、本来発生しないような有害物質がでるケースが多いです。
お風呂で使用する薬品には、必ず一緒に使用すると危ないものが記載されています。
薬品を取り扱う際は、注意書きをよく確認し、誤った使い方をしないように気をつけてください。
また、薬品を使って掃除をする際は、目や口、皮膚にもかからないように注意して掃除を行いましょう。
炎症を引き起こす恐れがあるため、もしかかってしまった場合は、すぐに洗い流してください。
症状がひどい場合は、医師に相談する必要もあると覚えておきましょう。
お風呂の排水溝のつまりは簡単に解消できるケースもありますが、ときにはいくらやっても直らない場合もあります。
このときに、つまりが解消できないからと、無理にブラシなどでつまっている物体を押し込むと、さらにつまりが悪化し危険です。
また、つまりの原因そのものが、自分では直せない場合もあります。
いくつかつまりを解消する手段を試しても、改善がみられない場合は、自分で無理に作業を進めるのではなく、専門の業者に一度相談しましょう。
結果的に、手間もお金もかからないケースも多いです。
お風呂の排水溝のつまりの原因の中には、業者でないと対応が難しい場合もあります。
主に、排水管の勾配が変化してしまったケースと排水桝に原因があるケースです。
どちらも一般の方には対応が難しいです。
詳しく解説します。
排水管は、排水を流れやすくするために、緩やかに勾配がつけられています。
この排水管の勾配が変化してしまうと、排水が上手く流れなくなり、排水溝のつまりにつながる可能性が高いです。
勾配が変わる要因としては、リフォームの際の工事や経年劣化、地震などの影響が考えられます。
また、勾配を直すためには、専門の業者による工事が必要になります。
液体パイプクリーナーや重曹とお酢、ラバーカップなどの対応をしても、つまりが解消できない場合は、排水管の勾配が変わっているかもしれません。
まずは、専門の業者に相談し、状況を確認してもらいましょう。
排水桝は、屋外の排水管のところに設置されています。
排水を一時的にせき止め、点検などに利用されます。
排水桝が汚れなどでつまってしまうと、排水が逆流し、お風呂の排水溝のつまりにもつながるケースが多いです。
排水桝を清掃すると解消できる可能性は高いですが、個人での対応が難しく、専門の業者に相談した方が解決も早くなります。
仮に、自分で対応する際は、つまりの原因になっている排水桝よりも下の部分の排水桝を見つけ、つまりを解消する必要があります。
また、高圧洗浄機などの機器も必要になってくるため、準備も大変です。
自分で対応を考えている場合でも、一度は専門の業者に相談すると、より安心して対応ができます。