トイレの水位が下がった! トイレつまりのサインかも

 

水洗便器の中には水が溜められていますが、この水はトイレを清潔に保つために欠かせないものです。 
普段の水位よりも低い(水が溜まりきっていない)と感じたときは、便器内に何らかの問題が起きている可能性があり、「トイレつまり」のサインかもしれません。 
この記事では、水洗トイレの中に溜められている水の役割と水位が下がる原因、水位が低いときの対処法について紹介します。トイレつまりが直らないケースについても解説しています。 

トイレの水位

1.トイレに溜まっている水の役割とは?

水洗トイレの便器内にはいつも水が溜まっています。ここを水たまりと言い、水自体を封水と言います。名前の通り、排水管から上がってくる臭いや害虫を封じ込めるという役目があります。この封水は基本的に水量の調整はできません。封水としての役割を果たすためには一定量の水が必要になるためです。

逆に言えば、トイレの便器内の水が少なくなっているということはトイレつまりなどの異常が発生しているということになります。目視では水量の低下が確認できない、もしくは普段の水量を覚えていないということもあるかもしれません。そんな時には悪臭が発生していたり、どこからか虫が湧いてきたりというサインを見逃さないようにしましょう。

また正常な水量の目安は水面の高さが便器の排水管につながる部分を隠している程度と覚えておくと便利です。水面が排水管につながる穴部分を覆いきれていない場合は水位が低くなっていると思っていいでしょう。

トイレの水

2.トイレの水位が下がる原因は?

封水の位置が下がる原因はいくつかあります。

長期間トイレを使用していないため封水が蒸発した

数日の旅行程度なら心配はありませんが、長く空き家だったなどでトイレを長期間使用していなかった場合、封水が蒸発して大きく減ってしまうことがあります。一度ハンドルを回して便器に水を流せば封水の位置は元通り正常に戻ります。また、洋式便器であれば長期間使用しないのであれば蓋をしめておくことで封水の蒸発をある程度予防することが出来ます。

便器に直接大量の水を流し込んだ

洗浄ハンドルを回してタンクから便器に水を流すのではなく、バケツ等で便器に水を流し込むと便器の仕組み上封水の水位が低下します。薬品を使ってトイレ掃除をする際にはこの仕組みを使ってわざと水位を下げてから作業をすることもありますが、知らずにしてしまうと水たまりの位置が下がったままになってしまい、悪臭の原因になってしまうことが。こちらも一度洗浄ハンドルでタンクの水を便器に入れてやることで解決します。

トイレがつまっている、つまりかけている

トイレつまりというと便器内の水位が上がるというイメージがあるかもしれません。ですが、つまった物やつまった位置によっては水位が低下することも。
水位が低下しているときは完全につまっているというよりはつまりかけている状況の方が多いようです。ただ、ここでトイレつまりのサインに気が付かずトイレを使い続けてしまうと完全につまってしまいますので早めの対処が肝心です。

便器が故障している

まれに便器が破損して内側で水漏れが発生していることもあります。ぱっと見で破損が無くても、床の下など見えないところの水漏れという可能性もあります。
集合住宅では水漏れを放置すると階下への浸水が発生するなど被害が大きくなるので、異変を感じたらすぐに業者や管理会社、大家等に連絡をして対応しましょう。

排水管に異常が起こり排水管内部の気圧が下がると封水の水位も下がります。排水管内部の異常は当然ながら目視はできませんので、こちらも判断は業者に任せるのがベストです。

トイレタンクや水道管に何らかのトラブルが発生していて、洗浄レバーを回しても充分な水が便器内に流れ込まないために封水の水位が下がることも。トイレタンク内の確認が必要です。

サイホン作用

サイホン作用とは、集合住宅やビルなどで上の階がトイレの水を流したときに、排水管内の気圧が下がって下階のトイレの水が引いてしまう現象です。
目に見えて水位が下がっていなくても、悪臭が出るようであればサイホン作用が原因のひとつとして考えられます。
一時的な現象のため、普段どおりトイレを使うことができます。

便器の水漏れ

古く老朽化した便器はひび割れや破損した箇所から水漏れを起こすことがあります。
新品のものについても、設置場所が甘いまたはずれていると排水の際に水漏れが起きるため、対処できないトラブルは業者に依頼しましょう。

排水管のつまり

トイレつまりは便器の内部だけではなく排水管の中でも起こります。ペーパーなどが問題なく流れたと思ったら、狭い排水管の中で詰まってしまい、水が流れなくなることがあります。
封水が下がっていて、その奥がつまっている場合は放置せず、早めに対処することが大切です。

 

3.便器内の水の水位が低くなっていたらどうする?

便器内の水たまりの水位が低くなっていることに気が付いたら、以下の手順で確認を進めます。

トイレブラシで確認

1.便器内に何か物が落ちていないか確認します。目視で確かめるのはもちろん、トイレブラシなどで排水管の奥に引っかかっているものが無いか確かめます。

家族やトイレを使った可能性のある人に何か異物を落としていないか確認しましょう。

→もしトイレ内に流せない物を落としていたら?

トイレ内に落とした物を取り除きましょう。ゴム手袋などをして素手で取るのが簡単で確実です。手が届かないほど奥に入り込んでしまった時には無理をせず業者を依頼しましょう。

2.排せつ物やトイレットペーパーなどトイレに流せるものがつまっていないか確認します。

 →もしトイレ内で排せつ物やトイレットペーパーがつまっていたら?

ラバーカップ(スッポン)などを使ってつまりを解消します。ラバーカップが手元にない場合はお湯、あるいはクエン酸と重曹などで対応することもできます。トイレつまりを解消しないまま水を流すと汚水が便器からあふれてしまう可能性があります。

   後ほどラバーカップでトイレつまりを解消する方法を紹介します。

3.何もつまっている可能性がなければ、洗浄ハンドルを回して水を流します。

長く不在にしていた、もしくは前居住者から間が空いた借家などではトイレつまりよりも蒸発の可能性が高くなります。まずは水を流してみましょう。蒸発によって封水の水位が低下していたとしたら便器に水を流すだけで水位が正常位置に戻ります。

4.トイレタンク内に異常が無いか確認します。

  トイレタンクの蓋を外して内部にしっかり水が溜まっているか見てみます。トイレタンクの蓋は見かけよりも重く、陶器製なので慎重に扱いましょう。落とすとヒビが入ったり、割れてしまったりします。また、手洗い金具が内部の部品とつながっていてすぐには持ち上げられないタイプの蓋もあります。その時には、タンク内側についているナットを反時計回りに回して外します。タンク内の水量の目安としてウォーターラインがあります。このラインより2~3cm下に水面が来ているのが正常です。

トイレタンクの中に水が溜まっていないときは洗浄ハンドルとつながったフロートバルブがずれていないかを確かめます。ボールタップと水に浮いている浮き球という部品をつなぐ鎖がどこかに引っかかっていることもあります。いずれも手で簡単に直せるので、位置を直して再び洗浄ハンドルを回して便器内に水を入れてみましょう。

一見して異常個所が判らないのにタンク内の水が少ないという時には業者にご依頼ください。

5.業者に対応を依頼する

 ここまで確認して異常が見つけられない、けれど水たまりの水位は気が付くと下がっているという時には排水管内部に異常がある可能性が高くなります。特に集合住宅や2階トイレの場合は階下への浸水の恐れがあるので、できるだけ早く業者を呼んで確認しましょう。

 

トイレつまりにより水位が下がったときの対処法

トイレつまりが原因で水位が下がっている場合の対処法として、ラバーカップまたはワイヤーブラシを使う方法があります。 
封水の水位が下がっているときは、何らかのつまりが発生していると考えられます。そのため、つまりを取り除くアイテムを使って改善できないかを試してみてください。 

ラバーカップでつまりを解消する方法

ラバーカップを利用したつまりの解決方法は比較的簡単です。 まずは、作業中に水が溢れないように、トイレの水の量を減らします。 ラバーカップをトイレの排水口にぴったりと密着させ、ゆっくりと押し込みます。 注意点としては、押し込むときに勢いをつけてしまうと、ラバーカップを押した圧力でつまりがより強固になり大変です。 ラバーカップを限界まで押し込んだら、今度は思い切り引っ張りましょう。 引く際は、つまりごと引き抜くために勢いよく対応します。 このときに、水が飛び散ってしまう恐れがあるので気をつけてください。 つまりが取れ、ボコボコと水の流れる音がしたら対応完了です。 1回で解消できない場合は、数回対応を繰り返してください。 何度やっても解消できない場合は、別の方法を試してみましょう。 対応が難しく感じたら、専門の業者に相談するのが素早い解決策です。

ワイヤーブラシでつまりを解消する方法

ワイヤーブラシを利用したつまりの解消法をご紹介します。 ワイヤーブラシは、ホームセンターなどでも簡単に手に入るので、探してみてください。 ワイヤーブラシの使い方も難しくはありません。 ワイヤーブラシの先端をつまりの部分に押し込み、ブラシに付いているハンドルをグルグルグルと回すだけです。 先端のブラシによって、つまりの原因を破壊したり、動かしたりしてつまりを解消します。 つまりの原因にしっかりとブラシの先端を押し当てるのがポイントです。 押し当てが甘いと、つまりに力が上手く加わらず、効果がありません。 ハンドルをグルグルしている間に、一気に水位が下がれば、つまりが解消できているため問題ありません。

 

トイレに流せない物を手で取り除く

トイレに流せないものがつまったとき、手の届く場所に見えていれば手で取り除くことができます。 つまったものを取り出すときは、ゴム手袋を着用しましょう。
ゴム手袋がなければ厚手のビニール袋に手を入れて取り除くこともできますが、つまりを取ろうとして奥に入ってしまう可能性もあるため、慎重に取り除いてください。

業者に修理を依頼する

ラバーカップ・ワイヤーブラシなどを使ってもつまりが取れなければ、専門的な器具による除去が必要です。
排水管の奥深くにまでつまりが入り込んでいるときは大がかりな対処になることも想定し、専門の業者に修理を依頼してください。

放置しても治らないケース

トイレの水位は放置しておけば自然に直るケースもありますが、そのままにしておくと、あとあと大変な思いをする可能性も0ではありません。
放置しても水位が改善しないケースを2つご紹介します。

あらかじめ把握しておけば、実際に起こったときに冷静な対応ができます。

スマホや置物など水に溶けない物

スマホや置物などの、 水に溶けない固形物が流れてしまったケースでは、いくら放置しても水位は直りません。
スマホや置物などは水に溶けないため、完全に流れるか、取り除かない限りは改善が見込めないでしょう。
現実的に、スマホなどの物体が排水管を通って下水まで流れてくれる可能性は低いので、取り除く方法を考えてください。

一番簡単で早く対応できるのが、ゴム手袋をはめて直接手で取る方法 です。
物体を落としてしまったときに、すぐに気がついて対応できれば、比較的手前に残っているため、簡単に取れます。
これが、奥の方に入り込んでしまっているケースでは対応は困難です。

もし自分での対応が難しいようであれば、専門の業者に依頼してください。

おむつなど水を吸うもの

おむつなどの水を吸収する物体がトイレに流れてしまった場合もは、放置しているだけでは直りません。
逆に 放置すると、どんどん水を吸収してしまい、取り除くのが困難になっていきます。

おむつなどをトイレに流してしまったタイミングですぐに取り除くスピード感が大切です。
方法としては、ゴム手袋をはめて手で取り除くのが一番簡単です。
時間をかければかけるほど、水を吸収してしまい、対応が難しくなるので、迅速な対応を心がけてください。

トイレの水位が下がったのを放置するリスク

水位が下がった状態を放置すると、さまざまなリスクがあります。
リスクを把握しておけば、リスクを回避するために早急な対応ができるようになります。
思いもよらない被害に発展する可能性もあるので、しっかりと確認してください。

悪臭の原因

トイレの水位が下がったままにしておくと、次第に水がなくなっていき封水切れを引き起こします。
その結果、 下水のにおいがトイレに逆流し、ひどい悪臭を放ちます。
とくに旅行や帰省などで、長期間家を開ける際は注意が必要です。
帰ってきたら「トイレから悪臭がする」とならないように、あらかじめ対応しておきましょう。

トイレが故障する

故障によって水位が下がっているケースもあります。 その場合は思わぬ二次被害を引き起こす可能性があるので注意してください。
異物などのつまりが原因で水位が下がっていない場合は、トイレが故障している可能性もあるので、専門の業者に相談してみましょう。

水漏れが発生する

トイレの水位低下を放置した結果、水漏れが発生しているケースもあります。
トイレから水が漏れているのは気がつくのが難しいので、水位が下がっていたら水漏れの可能性があると覚えておきましょう。

集合住宅などでは、下の階まで浸水する可能性もあり、二次被害を引き起こします。
最悪の場合は、被害にあった方から損害賠償を請求される可能性もあるので、軽い気持ちで放置せずに、早めの対応を心がけましょう。

いきなり水があふれる

つまりが原因でトイレの水位が下がっている場合は、水を流したタイミングで排水管が完全につまってしまい、水が逆流しあふれる恐れがあります。
水があふれてしまったら掃除も大変で、非常に手間がかかります。

水位が下がっているのに気がついたら、まずはつまりを疑い、解消しておきましょう。

7.水道業者に点検・修理を依頼する際のポイント

封水の水位が下がったときの原因は、水の蒸発またはトイレつまり(トイレつまりをともなうトラブル)が考えられます。 水道業者に点検や修理を依頼する場合、3つのポイントをチェックしたうえで連絡を入れましょう。

依頼する理由

水道業者に連絡すると、トラブルの理由を尋ねられます。「様子がいつもと違う」だけではなく、さらに具体的な状況を説明しましょう。 「便器内の水が減っていて悪臭があり、どこかで水漏れの音がする」「つまりが起きて封水の水位が下がってきた。つまりを取り除こうとしたがラバーカップでは対処できなかった」といった説明があると、業者側で対処しやすくなります。

業者の選び方

修理点検を依頼する業者は、すぐに駆けつけてくれる距離にある業者を選びたいところですが、営業時間やサービス内容、技術力なども可能なかぎりチェックしましょう。 水道工事の指定業者として認可を受けているかどうかも重要です。「水道局指定工事店」「指定給水装置工事事業者」といった内容で、市区町村に登録されていることを確認してください。

料金の目安

トイレのトラブルを点検するだけであれば、0〜数千円程度の料金となります。早朝・夜間・祝日や休日(年末年始など)の対応料金が加算される場合は1万円を超えることもあります。 つまりを取り除く修理対応では、技術料や修理費が加算されます。修理の際に設備や部品を交換する場合は作業料金に加えて購入費用がかかり、吸引ポンプを使う作業は数万円程度の費用が加算されます。 トラブルを放置していると状況が悪化し、対処に時間と費用がかかるおそれがあるため、早めに業者へ依頼しましょう。

8.トイレのつまりを防ぐ方法

トイレのつまり予防に役立つ方法は次のとおりです。

  • 一度に大量に流さない
  • 流せるもの以外を流さない
  • 節水や小を無理に使わない
  • 掃除やメンテナンスをこまめに行う
  • 老朽化した設備は点検・清掃する

一度にトイレットペーパーや便をたくさん流さないように心がけましょう。節水モードや「小」も、流す量によっては水が足りなくなるため注意が必要です。

トイレの掃除はこまめに行い、汚れが中にこびりついたままにならないようにケアをしながら、老朽化している設備は専門業者に依頼し、点検や清掃を行いましょう。

水たまりの水位が下がっていたら業者を呼んだ方が良い?

封水の水位の低下の原因は大きく2つに分けられます。ひとつは封水の蒸発、もうひとつはトイレつまりの発生を含めたトイレの異常です。

何らかの異常が発生したために水たまりの水位が下がっていたとしても、トイレは使えることが多いようです。そのため、ついそのまま使い続ける、あるいは水たまりの水位の低下にも気が付かないという人もいます。ただ、水たまりの水位が下がっていると悪臭がする、小虫が湧くなどの症状が現れることがあります。悪臭や小虫にきがついたら水たまりの水位を確認してみましょう。

水たまりが蒸発しているだけなら、前述の通り洗浄レバーで水を流してやれば解決します。

つまりその他のトイレトラブルでも、ラバーカップなどの手に入れられやすい道具を用いてご家庭で解決できることもあります。しかし見えない範囲のつまりや異物をトイレの奥まで流してしまった、排水管や便器、タンク自体に発生したトラブルは業者でなければ対応は難しくなります。

トイレの水位は設定などで下げられるものではありません。普段から使っている便器内の水の位置が下がっていたら、トイレに何らかの異常が発生しているサインです。原因に心あたりが無いという時には早めに業者を呼んで点検をしてもらうことをおすすめします。

トイレの水位低下はトイレつまりやトラブルのサイン 早めに対処しよう

トイレ内部の封水が減ってきたときは、トイレつまりやトラブルの可能性が考えられます。 
トイレを使うときは臭いや水漏れがないか、ゴポゴポという音がしないかを確認し、封水が減っているときはつまりが起きていないかを確認してください。 

水位が低下したまま直らない場合は、早い段階で業者に対応を依頼しましょう。生活水道センターでは、トイレトラブルの見積もりを無料で行っています。トイレ、水回りの困りごとについてぜひご相談ください。 

合わせて読みたい:トイレのつまり|東京都下水道局

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