• 投稿日: 2025/10/31
• 更新日: 2025/10/31

排水管から「カンカン」「トントン」という聞き慣れない音が聞こえてくると、何か大きなトラブルの前兆ではないかと不安になるものです。実は排水管の異音には種類があり、それぞれ原因と対処法が異なります。

本記事では、排水管から聞こえる5つの代表的な音について、その原因・緊急度・具体的な対処法を詳しく解説します。音の種類を正確に判断することで、自分で対処できるのか、それとも専門業者に依頼すべきなのかが明確になり、安心して適切な行動を取ることができます。

排水管からカンカン・トントン音がする主な原因

排水管からカンカン音やトントン音が聞こえる現象は、多くの住宅で発生する比較的一般的なトラブルです。このセクションでは、これらの音が発生する主な原因について詳しく解説します。音の正体を理解することで、適切な対処法を選択できるようになります。

熱膨張による排水管の歪みが音を発生させる

排水管からカンカン音が聞こえる最も一般的な原因は、熱膨張による排水管の歪みです。特に冬場や寒い時期に、熱いお湯を一気に流すと排水管内の温度が急激に上昇します。

普段は冷たい水が流れる排水管に熱湯が通ると、排水管の素材である塩化ビニールやプラスチックが急速に膨張します。この膨張によって排水管が歪み、周囲の壁や柱、固定金具と接触することで「カンカン」「トントン」という金属音が発生するのです。

多くの住宅で使用されている塩化ビニール製の排水管は、60度以上の高温に弱い特性があります。そのため、茹で汁や熱湯をそのまま流す習慣がある場合、排水管が徐々に変形し、音が発生しやすくなります。

季節の変わり目に音が大きくなる理由

カンカン音は季節の変わり目、特に秋から冬にかけての時期に大きくなることがあります。これは外気温と室内温度の差が大きくなり、排水管の温度変化がより激しくなるためです。

夏場は排水管の温度が比較的安定していますが、冬場は排水管自体が冷え切った状態からスタートします。そこに熱いお湯が流れると、温度差が50度以上になることもあり、急激な熱膨張が起こりやすくなります。

また、夜間から朝方にかけては外気温がさらに下がるため、朝一番にお湯を使用した際に特に大きな音が発生することがあります。このような季節的な音の変化は正常な現象ですが、音が日に日に大きくなる場合は排水管の劣化が進んでいる可能性があります。

排水管の素材と音の関係性

排水管から発生する音の大きさや種類は、排水管の素材によっても変わります。現在の住宅では主に以下の素材が使用されています。

素材	特徴	音の発生傾向
塩化ビニール（VP管）	軽量で施工しやすく、最も一般的	熱膨張しやすく、カンカン音が発生しやすい
ポリプロピレン（PP管）	耐熱性が高く、変形しにくい	音の発生は少ないが、接続部で音が出ることがある
鋳鉄管	耐久性が高いが重い	熱膨張は少ないが、固定部の緩みで音が出る
銅管	耐熱性・耐久性に優れる	膨張係数が小さく、音は発生しにくい

古い住宅では鋳鉄管が使用されていることもありますが、現在の主流は塩化ビニール管です。そのため、熱膨張による音の発生は多くの住宅で起こりうる現象といえます。

排水管から聞こえる5つの音別診断ガイド

排水管から聞こえる音には複数の種類があり、それぞれ原因と緊急度が異なります。このセクションでは、代表的な5つの音について、その特徴・原因・緊急度・対処法を詳しく解説します。まずは自分の家で聞こえる音がどのタイプに該当するかを確認しましょう。

①カンカン・トントン音｜熱膨張による歪み

【緊急度：中】

「カンカン」「トントン」「コンコン」という規則的な金属音は、排水管の熱膨張が原因です。特に以下のタイミングで音が聞こえる場合、この診断に該当します。

• 熱いお湯を流した直後
• 冬場の朝一番に水を使用したとき
• お風呂の排水時
• 食器洗いで温水を使用したとき

この音自体は危険ではありませんが、長期間放置すると排水管の歪みが進行し、接続部に隙間ができて水漏れを引き起こす可能性があります。また、歪んだ排水管内部には汚れが溜まりやすくなり、詰まりの原因にもなります。

対処の目安：音が頻繁に聞こえる場合や、音が徐々に大きくなる場合は、専門業者による点検をおすすめします。

②ゴンッ・ドンッ音｜ウォーターハンマー現象

【緊急度：高】

「ゴンッ」「ドンッ」「ガンッ」という大きな衝撃音が聞こえる場合、ウォーターハンマー現象が発生しています。これは水撃作用とも呼ばれ、排水管内の水圧が急激に変化することで発生する現象です。

ウォーターハンマー現象は以下の状況で発生しやすくなります。

• 蛇口を急に閉めたとき
• 全自動洗濯機が給水を停止するとき
• 食器洗い機が動作を切り替えるとき
• トイレのロータンクに給水が完了したとき

この現象は排水管に大きな衝撃を与えるため、繰り返し発生すると配管の接続部が緩んだり、給湯器などの設備機器が故障したりするリスクがあります。また、音が大きいため近隣住民とのトラブルの原因にもなります。

対処の目安：この音が聞こえたら早急に対処が必要です。止水栓での水量調整や水撃防止器の設置を検討しましょう。

③ゴボゴボ・コポコポ音｜排水管の詰まり

【緊急度：中～高】

「ゴボゴボ」「コポコポ」という水が溢れるような音は、排水管内で空気と水が混ざり合って流れている状態を示しています。一度に大量の水を流したときだけこの音がする場合は問題ありませんが、少量の水を流しても常にこの音がする場合は要注意です。

この音が継続的に聞こえる場合、以下の原因が考えられます。

• 排水管内に油汚れや食材カスが蓄積している
• 石鹸カスや髪の毛が排水管の内壁に付着している
• 排水トラップの異常
• 排水管の接続不良

放置すると完全に詰まってしまい、水が逆流する可能性があります。特にキッチンの排水口から継続的にゴボゴボ音が聞こえる場合は、早めの対処が必要です。

対処の目安：まずは市販のパイプクリーナーで掃除を試み、改善しない場合は業者に相談しましょう。

④ポタポタ音｜水漏れの可能性

【緊急度：最高】

水を使用していないのに「ポタポタ」という水滴が落ちるような音が聞こえる場合、排水管からの水漏れが疑われます。これは最も緊急度が高い状態です。

水漏れの主な原因は以下の通りです。

• 排水管にヒビや亀裂が入っている
• 接続部のパッキンが劣化している
• 接合部が緩んでいる
• 長年の熱膨張で排水管に穴が開いている

目に見える場所での水漏れであれば気づきやすいですが、壁の中や床下で水漏れが発生している場合、気づいたときには床や壁が腐食している可能性があります。また、水道料金が急激に上昇している場合も、見えない場所での水漏れのサインです。

対処の目安：ポタポタ音が聞こえたら、すぐに専門業者に連絡して点検を依頼してください。

⑤シュー音｜配管の亀裂や空気漏れ

【緊急度：高】

「シュー」という空気が漏れるような音や、細い水が勢いよく流れるような音が聞こえる場合、排水管に亀裂や小さな穴が開いている可能性があります。

この音は以下の状態を示しています。

• 排水管に細かいヒビが入っている
• 接続部から水が漏れ始めている
• 排水管の劣化が進行している

シュー音が聞こえる段階では、まだ水漏れが本格化していない「水漏れ寸前」の状態であることが多いです。しかし、放置すると確実に水漏れが発生し、大きなトラブルに発展します。

対処の目安：この音が聞こえたら、早めに業者による点検と修理を依頼しましょう。

自分でできる排水管音の対処法

排水管からの音に対して、自分で実践できる対処法がいくつかあります。このセクションでは、緊急度が中程度の音（カンカン音、ゴボゴボ音、ウォーターハンマー音）について、家庭でできる具体的な対処方法を解説します。ただし、これらの方法で改善しない場合や、緊急度が高い音の場合は、専門業者への依頼を優先してください。

熱湯を流す際の正しい方法

カンカン音やトントン音を予防するために最も効果的なのは、熱湯の流し方を改善することです。排水管の熱膨張を抑えることで、音の発生を大幅に減らすことができます。

具体的な実践方法

• 沸騰したお湯は60度以下に冷ましてから流す
• 熱湯を流す際は必ず水を同時に流す
• 大量の熱湯は一気に流さず、少量ずつ時間をかけて流す
• 茹で汁は一度ボウルに移して冷ましてから排水する
• 給湯器の温度設定を見直し、必要以上に高温にしない

特にキッチンでは、パスタや麺類の茹で汁を熱いまま流してしまいがちですが、これが排水管の劣化を早める主な原因となっています。茹で汁は冷水を加えながら流すか、しばらく放置して温度を下げてから流すようにしましょう。

冬場は排水管が特に冷えているため、朝一番の使用時には意識的に水と一緒に流すことで、急激な温度変化を防ぐことができます。

排水管の定期的な清掃方法

ゴボゴボ音の主な原因である排水管の詰まりを予防するには、定期的な清掃が不可欠です。以下の方法を月1回程度のペースで実施することをおすすめします。

市販のパイプクリーナーを使用する方法

• 液体タイプのパイプクリーナーを排水口に注ぐ
• 製品の指定時間（通常30分～1時間）放置する
• 大量の水で十分に洗い流す
• 月に1回程度の頻度で実施する

重曹とクエン酸を使用する方法

• 重曹100gを排水口に入れる
• クエン酸50gを振りかける
• コップ1杯の水を注ぎ、発泡させる
• 30分～1時間放置する
• 50度程度のお湯で洗い流す

重曹とクエン酸の方法は、環境に優しく安全性が高いため、キッチンやお風呂場での使用に適しています。発泡作用で汚れを浮かせて落とすため、油汚れやぬめりの除去に効果的です。

また、日頃から以下の予防策を実践することで、排水管の詰まりを防ぐことができます。

• 排水口のゴミ受けを毎日掃除する
• 油は排水口に流さず、固めるか拭き取って捨てる
• 髪の毛を排水口ネットでキャッチする
• 定期的に50～60度のお湯を流して油汚れを溶かす

止水栓での水量調整手順

ウォーターハンマー現象を軽減するには、止水栓で水量を調整する方法が有効です。水の勢いを抑えることで、排水管内の急激な圧力変化を防ぐことができます。

止水栓調整の具体的手順

• 止水栓の位置を確認する（トイレ、洗面台、キッチンの下部にあることが多い）
• マイナスドライバーを用意する
• 止水栓を時計回りに少しずつ回して水量を減らす
• 蛇口から水を出して水量を確認する
• 日常使用に支障がない程度まで調整する
• 音が改善されるまで微調整を繰り返す

止水栓を調整する際は、一度に大きく回さず、少しずつ調整することがポイントです。水量を絞りすぎると日常の使用に不便が生じるため、音が軽減される最低限の調整にとどめましょう。

全自動洗濯機や食器洗い機からウォーターハンマー音が発生している場合は、それらの機器専用の給水栓を調整します。機器の性能に影響が出ない範囲で水量を調整してください。

簡易的な応急処置方法

専門業者に連絡する前の応急処置として、以下の方法も試すことができます。

• 排水管の周囲に防音テープや緩衝材を巻く（音の軽減のみ、根本解決ではない）
• 排水管の固定金具を確認し、緩んでいれば締め直す
• 排水時の水の勢いを弱めて使用する
• 一度に大量の水を流さないようにする

ただし、これらはあくまで一時的な対処法であり、根本的な解決にはなりません。音が継続する場合や悪化する場合は、必ず専門業者による点検を受けるようにしましょう。

専門業者に依頼すべきケースと判断基準

自分で対処できる範囲と、専門業者に依頼すべきケースを正しく判断することは非常に重要です。このセクションでは、業者への依頼を検討すべき具体的なケースと、その判断基準について解説します。無理に自分で対処しようとすると、かえって状況を悪化させる可能性があるため、適切なタイミングで専門家に相談しましょう。

すぐに業者を呼ぶべき緊急ケース

以下のケースに該当する場合は、自己対処を試みず、すぐに専門業者に連絡してください。

• ✅ ポタポタという水漏れの音が聞こえる
• ✅ 目に見える水漏れが発生している
• ✅ 床や壁が濡れている、または湿っている
• ✅ 水道料金が前月比で2倍以上に急増した
• ✅ シュー音が聞こえ、排水管から水が噴き出している
• ✅ 排水管から異臭がする
• ✅ 排水が全く流れなくなった
• ✅ ウォーターハンマー音が非常に大きく、近隣から苦情が来た

これらの症状は、排水管の深刻な損傷や詰まりを示しています。特に水漏れは、放置すると床や壁の腐食、カビの発生、さらには建物の構造にまで影響を及ぼす可能性があります。

また、マンションやアパートなどの集合住宅では、自分の部屋からの水漏れが下の階に被害を及ぼすリスクもあります。このような場合、損害賠償請求に発展する可能性もあるため、早急な対応が必要です。

業者への依頼を検討すべきケース

緊急性は高くないものの、以下のケースでは早めに業者に相談することをおすすめします。

• カンカン音が3ヶ月以上継続している
• 音が徐々に大きくなっている
• 複数の場所から同時に異音が聞こえる
• 自分で清掃や水量調整を試したが改善しない
• 築15年以上経過しており、一度も排水管のメンテナンスをしていない
• 排水のスピードが以前より明らかに遅くなった
• 排水時に悪臭を伴う

これらの症状は、排水管の劣化や詰まりが進行している可能性を示しています。早めに専門家による点検を受けることで、大きなトラブルに発展する前に予防的な対処ができます。

賃貸住宅の場合の対応手順

賃貸マンションやアパートにお住まいの場合、排水管のトラブルへの対応手順が異なります。

賃貸住宅での正しい対応フロー

• 異音や水漏れに気づいたら、まず管理会社または大家に連絡する
• 自己判断で業者を呼ばない（費用負担の問題が発生する可能性）
• 連絡時には、音の種類・発生時期・頻度を具体的に伝える
• 可能であれば、音を録音しておく
• 管理会社が指定する業者による点検を受ける

賃貸住宅の場合、排水管の修理費用は基本的に貸主（大家または管理会社）の負担となります。ただし、入居者の過失による損傷（熱湯を頻繁に流すなど）と判断された場合は、費用を請求される可能性もあります。

そのため、日頃から排水管に負担をかけない使い方を心がけることが大切です。また、異音に気づいた時点で早めに報告することで、「放置していた」と判断されるリスクを避けることができます。

業者選びのポイント

専門業者に依頼する際は、以下のポイントに注意して業者を選びましょう。

• 水道局指定工事店であること
• 明確な料金体系を提示してくれること
• 見積もりを無料で行ってくれること
• 24時間対応可能な業者であること（緊急時）
• 実績や口コミが確認できること
• アフターフォローや保証があること

複数の業者から見積もりを取ることで、適正価格を判断できます。また、作業内容や使用する部品について丁寧に説明してくれる業者を選ぶことが、トラブル回避につながります。

排水管音の修理にかかる費用相場

排水管からの異音を解消するための修理費用は、原因や作業内容によって大きく異なります。このセクションでは、症状別の費用相場と、費用を抑えるためのポイントについて解説します。事前に費用の目安を知っておくことで、業者からの見積もりが適正かどうかを判断できるようになります。

症状別の修理費用相場

排水管の音に関する修理費用は、以下のような相場となっています。

症状・作業内容	費用相場	作業時間
排水管の詰まり解消（軽度）	8,000円～15,000円	30分～1時間
排水管の詰まり解消（中度）	15,000円～25,000円	1時間～2時間
排水管の詰まり解消（重度・高圧洗浄）	25,000円～50,000円	2時間～3時間
水撃防止器の設置	15,000円～30,000円	1時間～2時間
排水管の部分交換	20,000円～80,000円	2時間～半日
排水管の全体交換	100,000円～300,000円	1日～3日
水漏れ修理（パッキン交換）	8,000円～15,000円	30分～1時間
水漏れ修理（配管交換含む）	20,000円～50,000円	2時間～半日

これらの費用には、基本料金・出張費・作業費・部品代が含まれます。ただし、作業が深夜や早朝、休日になる場合は、追加料金が発生することがあります。

また、壁の中や床下の排水管にアクセスする必要がある場合は、壁や床の解体・復旧費用も加算されるため、費用が大幅に増加する可能性があります。

費用を抑えるためのポイント

修理費用を抑えるためには、以下のポイントを意識しましょう。

• 早期発見・早期対応：症状が軽度のうちに対処すれば、費用を大幅に抑えられる
• 複数業者から見積もりを取る：3社程度から見積もりを取り、価格と内容を比較する
• 平日の日中に依頼する：休日・夜間の割増料金を避ける
• 定期メンテナンスを活用する：年間契約で定期点検を受けることで、単発依頼より割安になることも
• 自治体の補助制度を確認する：地域によっては排水管修理に補助金が出る場合がある

特に重要なのが早期対応です。カンカン音の段階で対処すれば数万円で済むところを、水漏れまで進行させてしまうと10万円以上の費用がかかることもあります。

火災保険が適用されるケース

意外と知られていませんが、排水管の修理費用に火災保険が適用される場合があります。

保険適用の可能性があるケース

• 地震や台風などの自然災害が原因で排水管が損傷した
• 凍結による配管の破裂
• 突発的な事故による水漏れ

ただし、経年劣化や日常的な使用による損傷は、保険の対象外となることがほとんどです。保険が適用されるかどうかは、加入している保険の内容や特約によって異なるため、異音や水漏れが発生した際は、修理を依頼する前に保険会社に確認することをおすすめします。

賃貸住宅の場合は、前述の通り基本的に貸主負担となりますが、入居者の過失と判断された場合は入居者の負担となる可能性があります。この場合も、入居時に加入した火災保険（借家人賠償責任保険）が適用される可能性があるため、確認してみましょう。

排水管音を予防する日常のメンテナンス

排水管からの異音を未然に防ぐには、日常的なメンテナンスが最も効果的です。このセクションでは、誰でも簡単に実践できる予防策と、長期的な排水管の健康を保つためのポイントを解説します。これらの習慣を取り入れることで、突然のトラブルを大幅に減らすことができます。

毎日できる簡単な予防習慣

日々の生活の中で以下の習慣を取り入れることで、排水管のトラブルを大幅に予防できます。

• 排水口のゴミ受けを毎日掃除する：食材カスや髪の毛を溜めない
• 油は排水口に流さない：固めるか、新聞紙やキッチンペーパーに吸わせて捨てる
• 熱湯は冷ましてから流す：水と一緒に流すか、60度以下まで冷ます
• 使用後に水を十分に流す：洗剤や汚れを完全に流し切る
• 髪の毛キャッチネットを使用する：浴室の排水口に設置する

これらは特別な道具や技術を必要とせず、誰でも今日から実践できる方法です。特にキッチンでは、油を排水口に流さないことが最も重要な予防策となります。

週1回の定期清掃ルーティン

週に1回、以下の清掃を習慣化することで、排水管の詰まりを効果的に予防できます。

キッチンの排水口清掃

• 排水口カバーとゴミ受けを外し、古い歯ブラシでこすり洗い
• 排水トラップ（排水口の下の部品）を外して洗浄
• 重曹大さじ2杯を排水口に入れ、その上からクエン酸大さじ1杯をかける
• コップ1杯の水を注いで発泡させ、30分放置
• 50度程度のお湯で十分に洗い流す

浴室の排水口清掃

• 排水口のヘアキャッチャーを外し、溜まった髪の毛を除去
• 排水トラップを外して洗浄
• 市販のパイプクリーナーを使用（月1回程度）
• 使用後は大量の水で洗い流す

これらの作業は各5～10分程度で完了します。週末の掃除の一環として習慣化することで、排水管の健康を長期的に保つことができます。

月1回の本格メンテナンス

月に1回は、より本格的なメンテナンスを実施しましょう。

• 排水管全体の洗浄：市販のパイプクリーナーを使用して、見えない部分の汚れを除去
• 排水管の状態確認：異音がないか、水の流れは良いか、異臭はないかをチェック
• 止水栓の動作確認：緊急時にスムーズに閉められるか確認
• 排水口周辺の防カビ処理：アルコールスプレーで除菌

また、以下のチェックポイントも定期的に確認しましょう。

チェック項目	正常な状態	異常のサイン
水の流れるスピード	スムーズに流れる	流れが遅い、溜まる
排水時の音	静かに流れる	ゴボゴボ、カンカンなどの異音
排水口からの臭い	無臭、または微かに洗剤の香り	下水臭、腐敗臭
排水管周辺の状態	乾いている	濡れている、水滴がある

これらの項目に異常が見られた場合は、早めに対処することで大きなトラブルを防ぐことができます。

長期的な排水管の健康を保つコツ

排水管を長持ちさせるためには、以下のポイントを意識した生活習慣が重要です。

• 排水管に負担をかけない温度管理：60度以上のお湯は極力流さない
• 適切な洗剤の使用：強力すぎる洗剤は排水管を傷める可能性がある
• 固形物を流さない：ティッシュ、綿棒、食品の残りカスなど
• 定期的な水の流し込み：長期間使用しない排水口には週1回程度水を流す
• 排水管の寿命を理解する：一般的な塩化ビニール管の寿命は20～30年

特に築年数が15年以上経過している住宅では、排水管の劣化が進んでいる可能性があります。専門業者による定期点検（2～3年に1回）を受けることで、大きなトラブルになる前に予防的な対処ができます。

よくある質問（FAQ）

排水管の音に関して、多くの方が疑問に思う点について、Q&A形式で解説します。

Q1：カンカン音は放置しても大丈夫ですか？

A：短期的には問題ありませんが、長期間放置することはおすすめしません。カンカン音は排水管が熱膨張で歪んでいるサインです。放置すると歪みが進行し、最終的には接続部の隙間から水漏れが発生する可能性があります。音が聞こえ始めたら、まずは熱湯を流さないように注意し、音が継続する場合は業者に点検を依頼しましょう。

Q2：夜中に排水管から音がするのはなぜですか？

A：夜間は外気温が下がるため、排水管も冷え切った状態になります。そこに熱いお湯を流すと、昼間以上に大きな温度差が生じ、熱膨張による音が大きくなります。また、夜間は周囲が静かなため、昼間は気にならなかった音が目立って聞こえることもあります。夜間の給湯温度を少し下げる、または水と一緒に流すことで音を軽減できます。

Q3：賃貸住宅で排水管から音がする場合、修理費用は誰が負担しますか？

A：基本的には貸主（大家または管理会社）の負担となります。ただし、入居者の明らかな過失（熱湯を頻繁に流すなど）が原因と判断された場合は、入居者負担となる可能性もあります。異音に気づいたら速やかに管理会社に報告し、指示を仰ぎましょう。自己判断で業者を呼ぶと、費用負担の問題が発生する可能性があるため注意が必要です。

Q4：新築なのに排水管から音がするのですが、欠陥ですか？

A：新築でも排水管から音がすることはあります。排水管の固定方法や設置位置、周囲の構造によっては、熱膨張による音が発生しやすい場合があります。ただし、新築の場合は施工ミスの可能性もゼロではありません。引き渡し後すぐに音が発生した場合は、施工業者や販売会社に連絡して点検を依頼しましょう。アフター保証期間内であれば、無償で対応してもらえる可能性があります。

Q5：排水管の音が突然大きくなったのですが、危険ですか？

A：音が突然大きくなった場合は注意が必要です。排水管の劣化が急激に進行している、または固定部分が緩んでいる可能性があります。特に「カンカン」から「ガンガン」といった大きな衝撃音に変化した場合は、ウォーターハンマー現象が発生している可能性が高く、早急な対処が必要です。自己対処を試みず、専門業者に点検を依頼することをおすすめします。

Q6：市販のパイプクリーナーはどれくらいの頻度で使用すべきですか？

A：一般的には月に1回程度の使用が適切です。ただし、使用頻度が高いキッチンや、家族が多い家庭では、2週間に1回程度使用しても問題ありません。逆に、使いすぎると排水管を傷める可能性があるため、週に何度も使用するのは避けましょう。また、パイプクリーナーを使用しても改善しない場合は、詰まりが深刻化している可能性があるため、業者に相談してください。

まとめ｜排水管の音は早めの対処で安心

排水管からのカンカン音をはじめとする異音は、適切に対処すれば大きなトラブルに発展することを防げます。本記事で解説した内容を振り返ると、以下のポイントが特に重要です。

• ✅ 音の種類によって原因と緊急度が異なる
• ✅ カンカン音は熱膨張、ゴンッ音はウォーターハンマー、ゴボゴボ音は詰まりのサイン
• ✅ ポタポタ音やシュー音は水漏れの可能性が高く、早急な対応が必要
• ✅ 熱湯管理・定期清掃・水量調整で多くの音トラブルを予防できる
• ✅ 長期間放置した音や水漏れの疑いがある場合は専門業者に依頼する
• ✅ 賃貸住宅では管理会社に連絡し、自己判断で業者を呼ばない
• ✅ 日常的なメンテナンスで排水管の寿命を延ばせる

排水管の異音は、放置すると水漏れや詰まりといった深刻なトラブルに発展する可能性があります。しかし、音の種類を正しく理解し、適切なタイミングで対処すれば、大半のトラブルは未然に防ぐことができます。

まずは本記事で紹介した音別診断で自分の家の状況を確認し、自分でできる対処法を試してみましょう。それでも改善しない場合や、緊急度の高い音が聞こえる場合は、無理をせず専門業者に相談することが大切です。

水回りのトラブルは日常生活に大きな影響を与えます。早めの対処と日頃のメンテナンスで、安心・快適な生活を守りましょう。排水管のことでお困りの際は、水道局指定工事店である信頼できる業者にご相談ください。