バリウムがトイレに流れない原因とその対処方法・予防策を詳しく解説

 

はじめに

体調のチェックや健康診断で使われるバリウム。画像診断のために飲用するものですが、トイレにバリウムが流れず悩んでいる方もいらっしゃるかもしれません。

バリウムが流れないだけではなく、なかにはバリウム便によってトイレがつまってしまったというトラブルもみられます。

突然トイレが流れなくなってしまったら慌ててしまいますが、どのように対処するべきなのでしょうか。

この記事では、バリウムがトイレや配管に付着する理由やつまりのリセット方法、つまりを予防する方法を紹介しています。

１．トイレにバリウムが流れないトラブルの原因

バリウムは、アルカリ土類金属の一種で、銀白色で軟らかい感触の金属成分です。

原材料は重晶石（硫酸バリウム）で、石を粉末状にしたものがX線検査に使われています。バリウムがトイレに流れにくくなるトラブルの原因は3つです。

粘着性が高いため

バリウム自体が軟らかい金属で、高い粘着性をもっています。水にも溶けにくいため、トイレに流すと水に溶けずにそのまま沈んでいき、便器に付着することがあります。水よりも重い物質のため、軟らかい状態でも水に沈みやすく、底に沈んでいくと粘着性によってそのままくっついてしまうのです。 

固形化するため

バリウムは冷やされると固まる性質があります。重さによって水の中に沈み、底にくっついたまま水の温度によって固まってしまうと、それ自体がつまりの原因になります。 軟らかい状態で流れていけばつまる心配はありませんが、固形化したものは簡単に除去できないため、狭い排水管で固形化するとトイレットペーパーや便が流れにくくなります。 

節水型トイレに合わないため

水量が少ない節水型トイレや「節水モード」を使うと、通常よりも水量が少なくなるため、バリウムが流れにくくなります。 水の勢いが十分にあれば底につかずに流れていきますが、節水機能を使う際は水圧も弱くなるため注意が必要です。

２．トイレにバリウムが流れないトラブルの解決策

調査がひと通り終了し、あとは出すべきものさえ全て出しちゃえば健康診断は終了…したいところです。しかし、トイレの水を何回流してもバリウムが便器へくっつき流れないなんてことも。

バリウムは重くて、また物にくっつく力がとても強いゆえ、一回くっついてしまうとなかなか取れません。そういえば、バリウムを飲み干したあとどうしても口の周りに白いものがついてしまいますが、あれもまた、なかなか取れませんよね。

とにかく便器にバリウムがついてしまうと、見た目もよくないですし、衛生的にもちょっとという感じです。御家族に叱られる前に、すみやかにどうにかする必要があるんです。

①ぬるま湯

最もリスクが低く、私たちプロもまずおススメする方法です。

40度から50度ぐらいのぬるめのお湯を沸かして、便器へはりついたバリウムめがけ流し込みましょう。３回から５回ほど繰り返せば、かなり流れていくはずです。

なお、このとき、決してわかしたてのアツアツの熱湯を使わないようにしてください。熱湯ですと、陶器製の便器にヒビが入る危険性があるんです。

ちなみに便器にヒビが入ってしまうと、もはや便器を交換するしか対処法はありません。

そうなってしまうと、御家庭での対処はできないこともありませんが、それなりの技術が必要です。また業者に依頼すると、便器代＆交換作業代でかなりの大枚が飛んでいくことになるので、くれぐれもご注意ください。

②割りばし＆ブラシ

どこの御家庭にもある物で対処できる手法です。

まず、割りばしにてバリウムのかたまりをほぐしながら水に流すんです。このとき、割りばしで便器を傷つけないようにしましょう。

ちなみに、割りばしではらちがあかないと、使い捨て用のビニール手袋を装着して直につかみにいく猛者もいるようです。それに抵抗がなければこの手もイケると思います。ただし、手袋は決して便器に流して捨てないようにしましょう。

つぎに、トイレ用の柔らかいブラシで何度もこすって流していきます。すぐには落ちませんが、だからといって固い鉄製のタワシなどを使うと、これもまた便器に傷がつく原因になります。あくまでもトイレ掃除用のブラシで根気よくこすり続けてください。

③サンポール

サンポールは強い酸性洗剤で、バリウムを溶かす作用があります。自宅にあればぜひ試してみてください。 

バリウムのかたまりに洗剤を直接かけて溶かしていきます。奥に入ってしまい目視できない場合は、洗剤を流し入れてください。一度に流し入れず、少量ずつかたまりに当たるように流し込みます。 

なお、サンポールと塩素系洗剤を組み合わせると有毒ガスが発生します。決して併用しないようにしてください。 

④しばし放置

もしも、お一人暮らしで、お客さんもそれほど来ないお宅でしたら、そのまま放置するという手もあります。

10日から２週間ほどほったらかせば、トイレの水によって少しずつ流れて消えていきます。細かいことなど特に気にしないならば、取れるまで気長に待ちましょう。

３．トイレの奥にバリウムが詰まった際の対応策

やっと便器へついているバリウムが消えたと安心したのに、今度はトイレの水の流れが悪くなってしまったり、水が白く濁っていたり。これもまた困った症状ですね。

これは、おそらく流れて行ったバリウムがトイレの奥でつまっているものだと思われます。この状態で放置しておくと、今度は別の要因（「大」やトイレットペーパーなど）が加わってさらにひどいつまりになることも考えられます。

①ぬるま湯

バリウムは水によって固形化しますが、お湯に当たると軟らかくなり流しやすくなります。

40～50度のぬるま湯を用意し、便器の中に流し入れましょう。一度で排水されなければ繰り返しぬるま湯を入れて様子をみてください。

ただし、50度以上の熱湯は便器が破損するおそれがあるため、温度調節に注意が必要です。

②しばし放置

バリウムが自然に軟らかくなり流れていくまで、10日〜2週間ほど放置して様子をみます。放置しているあいだも、つまりがなければ通常どおりトイレを使って問題はありません。

ただし、大量にトイレットペーパーや便を流したり、一度にたくさん流そうとしたりしないように、つまりや逆流リスクの高い行動は避けてください。

③プロに頼む

①でも効果がなく、②のような悠長なことは言っていられない。

こんなときは、すみやかにプロの業者に相談依頼しましょう。

弊社ならば専門家ならでは経験と技術によりすみやかに詰まりを解消します。

４．トイレにバリウムが流れないトラブルの防止策

『バリウムによるこんなトラブルはもういやだ』

という場合、実は事前にトラブルが回避できる方法もありますよ。

①下剤やたくさんの水分を服用する

バリウムを飲んだあとは、スムーズに排出されるように水分をしっかりと飲み、硬い便にならないように下剤を服用します。

水を飲むことでバリウムが薄まり、下剤ですばやく排泄することでつまりを回避できる可能性があります（健康上の問題がある場合は医師や看護師に相談してください）。

②トイレの水を大量に流す

通常でしたら、出すべきものを出し終えてから水を流しますよね。しかし、出したものが便器にくっついてしまうのを防ぐために、先に水を流し始めてからその流れに乗せる感じで、すばやく出すべきものを放出します。便器に接する前に流してしまおうという方法ですが、これはまさにタイミングが命です。

ちなみに、１回あたりに流れる水の量が少ないトイレや、一度流すと次に水がたまるまで時間がかかるトイレですと、ちょっとこの手法は厳しいかもしれません。

③トイレットペーパーを敷く

残ったバリウムを便器につけたくなかったら、前もってトイレットペーパーを下へしいておくと、比較的スムーズに流れていくでしょう。この方法でつまりを100％回避できるわけではないですが、知っていて損はないはずです。

ただ、キッチンペーパーなど厚手の紙だとトイレをつまらせる原因となるため、あくまでもトイレットペーパーでやりましょう。

④非常用トイレを用いる

過去に何度かバリウムのトイレトラブルに悩まされた人にオススメなのが、ずばり、便器そのものを使わないという方法です。

災害用グッズやキャンプ用品にある携帯用トイレを用いることで、トイレトラブルを完璧に回避できます。

最近は100均にも携帯用トイレグッズがありますので、それを使ってみてもいいですね。

５．トラブルを防止できない場合にはプロにご相談を

ぬるま湯や放置で効果がみられず、つまりの程度が深刻な場合は、すぐにプロの業者に依頼しましょう。

つまった箇所を取り除こうとして便器を傷つけたり、つまりが奥に入り込んで取れなくなったりするおそれもあるため、手に負えないトラブルはプロに相談してください。

生活水道センターは、水道局認定の指定工事店として24時間365日体制で水回りの修理依頼を受け付けています。給水装置主任技術者が知識と経験をもってすみやかに対応します。

難しいケースは専門業者に相談

今回は、バリウムが便器や排水管についてしまう原因と対処法、予防方法を紹介しました。

• 便器についたバリウム：ぬるま湯・割りばし・サンポール
• トイレ詰まり：ぬるま湯・専門家へ依頼

バリウムの処理は、軽度なものであれば自分でも対処できます。手に負えないつまりが発生したときは無理に手を加えず、専門の業者に相談してください。