トイレの水漏れは自分で直す!?止水栓から浮き玉まで詳しく解説します!
目次
トイレからチョロチョロと水漏れの音が聞こえた時、みなさんはどのように対応しますか。
業者さんに電話をする?
もちろんそれもいいかと思いますが、実は簡単な方法でその水漏れを改善することが出来るかもしれません。
ここで大事になってくるのは「止水栓」です。
問題のある箇所の確認や修理には必ず止水栓を閉めての作業が必要となります。
止水栓を閉めずに作業をすると、ずっと給水されてしまうので、作業自体が危なかったり、水が噴き出して大惨事となってしまいます。
この記事ではトイレの水漏れについて確認するポイントと止水栓についてご案内します。
ただし多量の水漏れや、便座下からの水漏れの場合は自分で作業するというのは難しい場合が多いので、該当の場合は業者さんを頼られる事をおすすめします。
トイレの水漏れの原因の多くはタンク内に問題あり
トイレのタンクを開けると様々な部品があり、とても素人では一発で原因を探すのは難しいですよね。
ここではトイレタンク内の大事な部品の説明をします。
交換や作業に入る前の準備についてご案内したいと思います。
トイレのタンク内の構造について
まずは、トイレの水漏れについて考えられる原因を探って行きます。
先程も触れたようにトイレのタンクは複雑な作りとなっている為、その構造や役割を理解した上で作業をすると効率がグッと上がります。
ここからは簡単にタンク内の構造と役割を説明させて頂きます。
「サイフォン管」
水の中に一本の管が立っているはずです。
これをサイフォン管と呼びます。
サイフォン管はタンクに給水された水がオーバーフロー(水位が上がって水が溢れ出すこと)するのを防ぐ役割を持っています。
「ゴムフロート」
タンク内の水を流す時に弁の役割をしており、サイフォン管の先端についているゴムの部品です。
ゴムフロートはトイレへと流れる水のストッパーの役割を果たしています。
レバーを引くとゴムフロートに繋がっているチェーンが引っ張られ上下をすることにより水量を調整しています。
「ボールタップ」
ボールタップは給水管と繋がっている部品で、浮き球の位置によって水位が上がると手洗い管から水を出し、タンクに水を供給します。
タンクレスをご利用の場合はボールタップがありません。
「浮き玉」
浮き玉はボールタップと繋がっている部品で、タンク内に溜まっている水に浮かんでいる部品です。
他にも様々な部品はありますが、主にこの4つが原因となっていることが多いです。
作業に取り掛かる前に
止水栓でタンク内に入る水量を調節することによって作業が簡単になります。
止水栓を止めないまま作業をすると、水が溢れ大変な事にもなりかねません。
止水栓とは
この「止水栓」を開けたり閉めたりすることで、タンク内への水流の調整をしています。
水道と同じように閉める時は時計回り、開ける時は反時計回りで調節をします。
止水栓の役割と構造や種類
○役割
止水栓とは、通常の水栓以外に設置されたものです。
修理やメンテナンスの時に水を止めたり、水量の調整を行うためのもので、給水管と給水器具の間に設けられている水栓のことです。
○構造
止水栓の構造は通常の水道とほぼ同じです。
ハンドルを閉めているときは、ケレップと呼ばれるコマが給水口を抑えているため水が流れません。
ハンドルを緩めるとスピンドルと言う部品が上がり、ケレップが水圧により押し上げられ水が流れるという仕組みです。
○パッキン
少し難しい説明をしてしまいましたが、ここから更に大事なお話をします。
止水栓の中には、パッキンと呼ばれる水を止める為の部品が2つ入っている事が多いです。
ただし、ケレップの部品がエスコマ・節水コマの場合はパッキンが一体となっているものがある為、パッキンが1つの場合があります
このパッキンの劣化が原因の場合は、パッキンの交換が必要となります。
元栓を閉める必要があり、部品の分解を伴うので業者さんに頼んだ方がよいでしょう。
止水栓が固くて動かない、異音がする場合などは、無理に動かさず専門の業者に頼みましょう。
パッキンが原因の水漏れの場合は、止水栓部分から水漏れをしていることが特徴です。
関連情報
止水栓の種類
止水栓には様々なタイプがありますが、大きく分けて2つ
○ハンドル型
築年数の古い建物や公共施設に多く見られるタイプ
操作するのに必要な道具は不要です。
○マイナス溝型
スッキリとしたデザインの為、現在多くの住宅で使用されているタイプ
操作するのにはマイナスドライバーや硬貨が必要です。
マイナス溝型には、溝部分が筒状のもので覆われているものもあります。
その形状のものは、硬貨などで開け閉めするのは難しく細長いマイナスドライバーなどで操作するようになります
「止水栓」はここにある
止水栓と呼ばれるものは実はタンク内ではなく、壁や床からから出ているL字型または直管型の部品です。
便座下部分や便座裏に隠れたデザインもありますので、ご確認ください。
「止水栓」を扱う前に注意すること
最近では温水洗浄便座の普及が進んでおり、ご自宅でも温水洗浄便座をご利用の方がいらっしゃると思います。
作業をする際は必ず電源を切ってから作業を始めてください。
また、止水栓を操作する前に元栓を閉めておくことも大事です。
もちろん元栓を閉めずに作業は出来ますが、予想もしなかったところから水が吹き出すという事態は避けたいので、元栓から閉めておくことをオススメします
止水栓を閉める時にに準備する道具
○マイナスドライバー
○手を保護するもの(ゴム手袋など)
○タオルや雑巾(水漏れ対策)
止水栓が硬くてマイナスドライバーでは回らないという方は、ホームセンターなどで止水栓専用の水栓ドライバーなどが売っているので、ひとつストックしておくと便利かもしれませんね。
「止水栓」の開け閉めについて
先ほども書いたように、水道と同じように閉める時は時計回り、開ける時は反時計回りで調節をします。
この時に気をつけるポイントはどのくらい閉めたのかを覚えておく所です。
止水栓を固く閉めたまま、または水の出方が不十分な時には別の故障に繋がるので、どのくらい開閉をしたのかをきちんと覚えておいてください。
分岐タイプの止水栓の場合
止水栓には様々な形があり、中には分岐をしているタイプもあります。
具体的には、
○温水洗浄に給水する為に分けているタイプ
○シャワーなどに給水する為に分けているタイプ
などがあります。
分岐をしているタイプの止水栓は、作業をする上の止水栓も止める様にしてください
先ほども注意書きをしていますが、止水栓の開け閉めを行う際に異音がしたり、あまりにも固すぎる場合は、内部のパッキンが原因の場合があります。
パッキンを破損してしまうと水が止まらなくなり、修理・交換費用が高額になる場合があります。
力を入れすぎずに止水栓の開け閉めを行ってください。
ここまでで「止水栓」を止めてタンク内の作業が出来るようになりました。
トイレの水漏れの確認ポイント
ここからは、トイレのタンク内の作業になります。
トイレタンクを開ける際にはフタを外す事になりますが、非常に重たいので取り扱いには十分注意してください。
また、手洗いノズルに連動している部品もある為、丁寧に取り扱うようにしてください。
それでは、それぞれの部品に合わせて確認していくポイントをご紹介していきます。
サイフォン管
他の部品が絡まったり、ゴミなどが詰まっていないかをチェックします。
絡まりやゴミなどがあれば取り除いておいてください。
このサイフォン管を目安にタンク内の水位を確認してください。
タンク内の水位は、サイフォン管の先端から2〜3cm下に水面がある状態が標準水位となっています。
それよりも水位が高い、もしくは低い場合にはタンク内の部品に異常が発生している場合が多いです。
ゴムフロート
きちんと弁の役割が果たせているかをチェックします。
役割を果たしていなかったら、ゴミを取り除きチェーンなどの絡まりなどを解きます。
手動で開け閉め作業を行い、隙間などが出来ないかを確認します。
ゴムフロートがきちんと機能しない場合、タンク内の水が少しずつ減っていまい、いつまで経っても水が流れ込んでしまいます。
また、節水目的でゴムフロートのチェーンを極端に長くしている場合などは絡まりやすくなります。
流れる水量を少なくすると洗浄効果も落ちてしまうので、極端な調整はやめましょう。
ボールタップ
チェーンなどが絡まっていないか、浮き玉がきちんと取りついているかをチェックします。
ボールタップに異常があればチェーンの絡まりを解き、浮き玉にゆるみがある場合はきちんと閉め、正常に動くかを確認する
固くて動かない場合などは、内部の破損の可能性があります。
またボールタップは浮き玉の上下の動きに連動するので、浮き玉が正常に動いている必要があります。
ボールタップの上部は手洗いノズルに続いている場合があるので、取り外しの際は気をつけてください。
浮き球
チェーンなどか絡まっていないかをチェックします。
浮き玉に異常があれば、チェーンの絡まりを解きます。
この浮き玉が正常に動かないと他の部品にも影響が出るので、無理に引っ張ったりしないように注意してください。
ここまで確認を終えたら、今度は止水栓を元の位置に戻してみてください。
止水栓を戻した後は、トイレタンク上部のフタをきちんと戻して水を流すようにしてください。
フタを閉めないままに水を流すと手洗いノズルなどから水が吹き出してしまいます。
通常通りに動けば、これで終了です。
それでも水漏れをしているときは部品の故障かも!
ここまで確認しても水漏れが治らない場合は、部品自体にひび割れや破損箇所があり、本来の役割が果たせていない場合があります。
また部品が動く際に異音がする場合などは、部品の交換が必要となります。
ここからはもう少し踏み込んで、部品の交換についてご案内します。
サイフォン管に経年劣化や破損がある場合
サイフォン管に異常があると、破損箇所からタンク内の水が減り続けるので絶えず給水され続けます。
サイフォン管を交換する時に必要な道具
○モンキーレンチ
○ドライバー
○交換用のサイフォン管
○ウォーターポンププライヤー
※ウォーターポンププライヤーとは、丸い物や不定形な物が掴める工具です
サイフォン管の交換方法
タンクのフタを開け、手洗いノズルに連携しているホースや補助水管を取り外します。
止水栓を閉め、タンク内の水を全て抜いてください
次にトイレタンクを取り外します。
タンクは重いので、持ち運びには注意してください。
また陶器で出来ているため、落としたり壁にぶつけたりすると割れる危険性があります。
※トイレタンクの外し方
まず、タンクと繋がっている給水管のナットをモンキーレンチを用いて緩めます。
次にタンクとトイレ本体を外します。
タンクの裏底部分の左右のナットも外します。
これでタンクが外せます。
モンキーレンチではサイズが合わないことがあるので、ウォーターポンププライヤーでナットを外してください。
壊れたサイフォン管を外せたら、そこに新しいものを差し込みます。
新しいサイフォン管と交換出来たら、逆の手順で元に戻します。
タンクの裏底と給水管のナットを締める時にあまりにも強く締めすぎるとタンクが割れてしまう可能性があるので、締めすぎには注意してください。
止水栓を戻しタンク内に水を溜めます。
タンク内の水位は、サイフォン管の先端から2〜3cm下に水面がある状態が標準水位となっています。
問題がなければ、手洗いノズルに連携ホースを取り付けタンクのフタを閉めます。
これでサイフォン管の交換は完了です。
ゴムフロートに経年劣化や破損がある場合
ゴムフロートと排水口に隙間やゴミなどの詰まりがないにも関わらず、弁の役割を果たしていない場合は、ゴムフロートが経年劣化で割れたり破損している可能性があります。
経年劣化していると、ゴムに触れるとポロポロと崩れたり、黒いゴムが手についてしまいます。
ゴムフロートを交換する時に必要な道具
新しいゴムフローが必要になります。
メーカーなどで規格が違う場合があるので、気をつけてください。
ゴムフロートの交換方法
タンクのフタを開け、手洗いノズルに連携しているホースや補助水管を取り外します。
止水栓を閉め、タンク内の水を全て抜いてください。
トイレレバーに接続されているチェーンとサイフォン管との接続部を外して古いゴムフロートを取り除きます。
新しいゴムフロートのチェーンについているフックを外しておきます。
新しいゴムフロートのチェーンをサイフォン管に取り付けます。
外しておいたフックをトイレレバーに掛けます。
フックの下の部分にチェーンを合わせます。
目安としてチェーンの2つ目をフックに掛けます。
チェーンの長さは、長いほど流れる水の量は少なくなり、逆に短いほど多くなります。
ご家庭の状況に合わせて調整してください。
止水栓を戻しタンク内に水を溜めます。
タンク内の水位は、サイフォン管の先端から2〜3cm下に水面がある状態が標準水位となっています。
問題がなければ、手洗いノズルに連携ホースを取り付けタンクのフタを閉めます。
これでゴムフロートの交換は完了です。
<h3>ボールタップに経年劣化や故障がある場合
ボールタップに異常があると浮き玉の上下を感知出来ず、ちょろちょろとタンク内に水が入ってきます。
ボールタップの交換に必要な道具
○新しいボールタップ
○モンキーレンチか水栓プライヤー
○マイナスドライバー
○バケツ
ボールタップはホームセンターやメーカーの公式サイトなどで購入可能です。
タンクの種類によっては対応出来ないものもあるので、事前に適合するものかを確認しておきましょう。
ボールタップの交換方法
作業前にボールタップについている部品を全て外しておいてください。
浮き球部品を組み立て、高さを調整します。
タンクのフタを開け、手洗いノズルに連携しているホースや補助水管を取り外します。
止水栓を閉めて、トイレタンク内の水を全て空にしましょう。。
タンク横のナットと止水栓側のナットをゆるめ排水管を取り外します。
この時排水管の中に溜まった水が溢れてくるので、バケツを使ってください。
最後に固定ナットをゆるめ、古いボールタップを取り外します。
古いボールタップが外せたら、新しいボールタップへと交換していきましょう。
まず、新しいボールタップの接続部分に、パッキンを入れます。
ボールタップをタンクの内側から差し込み部品の順番に気をつけて取り付けます。
給水管に付いていた古いボールタップ用のナットを取り外し、新しいナットに交換しましょう。
この時、ナットの向きに注意してください。
その後元々付いていた止水栓側のナットとパッキンを戻します。
止水栓側にナットを仮止めし、給水管をボールタップに取り付けられる位置まで調整します。
給水管とボールタップの間にパッキンを挟みナットで工具を閉めてください。
仮止めしていた止水栓側のナットもしっかりと閉めてください。
給水管とタンクが繋がったら、動作確認を行います。
動作確認の際にはサイフォンに補助水管を取り付けておいてください。
止水栓を戻しタンク内に水を溜めます。
タンク内の水位は、サイフォン管の先端から2〜3cm下に水面がある状態が標準水位となっています。
タンク内に水漏れが無いことと、浮き球が機能していることを確認してください。
問題がなければ、手洗いノズルに連携ホースを取り付けタンクのフタを閉めます。
これでボールタップの交換は完了です。
浮き玉に経年劣化や故障がある場合
浮き玉に亀裂や穴があると、正常に機能せずボールタップがいつまでも給水してしまうので、こちらも交換していきましょう。
浮き玉の交換に必要な道具
○新しい浮き玉
○モンキーレンチ
○ドライバー
浮き玉には節水タイプのものも多く登場しており、交換をする際に節水タイプに変更される方も多いそうです。
ボールタップと適合しているかを確認し、これを機に節水タイプへの変更をするのもおすすめです。
浮き玉の交換方法
タンクのフタを開け、手洗いノズルに連携しているホースや補助水管を取り外します。
止水栓を閉めて、トイレタンク内の水を全て空にします。
水を全て抜き終わったら、浮き玉をボールタップから取り外します。
ボールタップと浮き玉を繋いでいるナットまたはネジをモンキーレンチやネジで外してください。
古い浮き玉を取り外せたら、新しい浮き玉を取り付けます。
新しい浮き玉を取り付けたら、逆の手順で戻していきます。
新しい浮き玉に取り替えた後は、正常に動作するか確認します。
止水栓を開き、タンクに水を貯めます止水栓を戻しタンク内に水を溜めます。
タンク内の水位は、サイフォン管の先端から2〜3cm下に水面がある状態が標準水位となっています。
問題がなければ、手洗いノズルに連携ホースを取り付けタンクのフタを閉めます。
これで浮き玉の交換は完了です。
他の場所から水漏れしている場合
手洗い場や蛇口から水漏れしている場合
パッキンの劣化や故障が考えられるので、パッキンの交換をします。
<h3>排水パイプや給水管または止水栓から水漏れしている場合
こちらは水漏れの箇所のナットを締め直してみてください。
便座下やタンクからの水漏れの場合
便座やタンク自体にひび割れや欠損がある事が考えられます。
この場合は便座自体の取り外しや分解なども必要となるので、業者さんに頼んだ方が良いです。
まとめ
トイレの水漏れについていかがでしたでしょうか。
水漏れを自分で直す際に注意すべきことを書いていきました。
水漏れを直す作業をするにあたっては、
・作業前に止水栓を止める前に元栓を閉めておく
・タンク上部のフタを外す時に注意する
・温水洗浄便座の場合は必ず電源を切る
・止水栓をどのくらい閉めたのか覚えておく
・修理後に止水栓を開け水量を調整しておく
ことに注意してください。
止水栓がポイントとなりますので、止水栓の開け閉めにも気をつけましょう。
また、修理にはそれぞれの部品によって細かい作業も出てきます。
説明書をよく読み作業するように心がけてください。
無理に引っ張ったり、締め方をゆるくしてしまうと別の水漏れの原因となってしまいます。
ご自身で部品の交換・修理をすることが難しかったら、近くの水道工事行者へ連絡してみてください。